人の気持ちを癒すものはない、少なくとも私はそう思っています。その土地、その土地で触れる風景、気象そして人々。これらとの触れ合いが都会で疲れたこころを癒してくれます。
ひとりで行くたびもいいし、二人で行く旅もよろしい。また団体旅行もワイワイやりながら、楽しい。孤独になるためのたび、逆に孤独から逃れるためのたび。すべてのたびは何かをもたらしてくれます。
旅行は、やはり土地の風景ですよね。はじめて行く土地の風景、これはやはり深い印象をもたらします。 その風景には、必ずその土地の人々も含まれています。土地の人々とのやり取りも風景の一部です。
旅行といえば、食べ物です。その土地の食材。山菜であったり、海のものであったり。あそこで食べた 魚料理が忘れられない。いうまでもなく、その土地ごとに伝統と知恵を含んだ食べ物がある。その土地の人々が鍛え、育ててきた食べ物だ。そういうものはひとつひとつ大切にしたいですね。
| 日本百名道―美しい日本の道、堂々100選! 須藤英一著 | ニッポン放浪宿ガイド200―人生を変える旅、運命を変える宿Loft Books編 | 日本百名町 知恵の森文庫嵐山光三郎 |
| 東京ディープな宿 泉麻人 | ||
さて、土佐日記はいつごろ書かれたものでしょうか。10世紀ですね。紀貫之というひとが、四国の就任地から京の自宅に到着するまでの、55日間の記録です。それまでは、漢字で書かれていたのを、ひらがなで書かれた 記録としても有名ですね。
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。それの年(承平四年)のしはすの二十日あまり一日の戌の時に門出す。そのよしいさゝかものにかきつく。ある人県の四年五年はてゝ例のことゞも皆しをへて、解由など取りて住むたちより出でゝ船に乗るべき所へわたる。かれこれ知る知らぬおくりす。年ごろよ具しつる人々なむわかれ難く思ひてその日頻にとかくしつゝのゝしるうちに夜更けぬ。
| 土佐日記 岩波書店 | 土佐日記講談社学術文庫 | 土佐日記古典新釈シリーズ |
| 伊勢物語;土佐日記新潮古典文学アルバム | すらすら読める土佐日記林望 | 姫様と紀貫之のおしゃべりしながら土佐日記学研M文庫 |
| 紫式部の蛇足 貫之の勇み足新潮選書 | 頻出土佐日記 更級日記松村武夫 | 土佐日記を歩く―土佐日記地理弁全訳注 |
日本においての旅というと、「奥の細道」を思い出しますが、まあ、これは「旅行」というよりも、「旅(たび)」というのがふさわしいでしょうか。江戸時代ですからね、距離的な移動というのはシステム的に困難な面もあったはずですよね。現代のように、あちこちを気楽にいけるということではなかったはず。もちろん、電車も車も飛行機もないということで、移動の手段の面での困難さはあたったでしょうが、それだけではなく幕府による政策的な制約による困難さもあったはずです。
まあ、それでも、江戸時代も時代が進んで幕末近くなると、庶民が旅するのもかなり緩やかになっていたようです。当時は、水筒代わりにひょうたんなんかを使っていたようです。それと、ちょっとした薬を入れた入れ物なんかも携帯していたようですね。
日本人は昔から無類なほど旅好きなようですね。江戸時代の旅といえば、お伊勢参りですね。当時の人々の一生の一度の願いだったようです。イスラムの人々のメッカへのたびと同じようなもんでしょうかね。
やじさん、きたさんもお伊勢参りのために東海道をくだったのでしたね。江戸の長屋を出立してから伊勢に着くまで15日間の行程です。1805年くらいの作品というから、今からちょうど200年前なんですね。たった200年で これだけ世の中が変ってしまいました。やじさん、きたさんが東海道を旅していたときの風景と想像すると、200年間の激変ぶりは大変なもんです。
作者はご存知 十返舎一九 といいますが、元々武士であったことを知っていますか。でもなんで侍を捨てたんですかね。それで、このひとは大変な人気作家になって、作家であることによって飯が食えていたということから すごいですね。当時の職業作家です。
| 東海道中膝栗毛―マンガ 土田よしこ | 村松友視の東海道中膝栗毛 | 池田みち子の東海道中膝栗毛 |
| 新説東海道中膝栗毛 柏木貴志 |
日本初めての新婚旅行は、坂本竜馬によっておこなわれたそうだ。西洋では「新婚旅行なるものがおこなわれているそうだ」として、新物好きの竜馬はさっそくとびついた。その前に伏見の寺田屋を 幕府の捕り物たちに襲われて、負傷し、その傷を癒すために鹿児島に滞在していたのだ。そのときにおりょうと婚姻し、日本初めての新婚旅行が実現した。
昔は、旅することは危険と隣り合わせでした。強盗、追いはぎ、夜になれば夜盗、とにかく物騒でしょうがない。つまり、近代国家になる以前です。アメリカの西部開拓時代についての本 を 読んだことがあるのですが、アメリカでその時代は中々危険がありました。それで、西部に行くには、多くの人を集めて、徒党を組んでいくのです。幌馬車隊です。このような幌馬車隊にとって、 危険なのは必ずしも、インディアンだけではない。同じ白人が荒くれ者となり、強盗の集団として幌馬車隊へ襲い掛かってくる。中々大変な時代だったのですね。
このような旅行における危険を防止するために、欧州で現金の輸送に関するシステムがいろいろと開発されていったのですね。
なんと宇宙旅行が手の届くところまで来たという。手が届くといっても、一般人ならば数億の金が必要だというから、とても手が届くということではまったくない。でもね、宇宙旅行といえば、これまでは SFの世界の出来事でした。イギリスの作家 A.C.クラークの「2001年宇宙の旅」なんかはその代表的な作品ですね。まだあの中に描かれたような具合にはまったくいきませんが、あと4,5年もすれば、 巨大な宇宙ステーションが出来て、そこに多くの人が行ったりきたりするようになるのではないか、そんなことを想像します。
長い距離の旅行、短い距離の旅行。一般的には長い距離の移動によるものを旅行という。 数百メートルの移動ならば、旅行とは言わず、散歩と称される。ただし、散歩にも旅行的な要素はある。 いつもの決まったところを歩くだけの散歩ならば、それほどではないが、今日はそれまでとはまったく違ったルートで 散歩してやろうということで歩き初めと、旅行的な要素が入ってくる。 旅行には、それまで経験したことのない事物に出くわそうとする気持ちが含まれているからです。 ワクワク感、新鮮な味わい。 近所を歩くのでも、その前に地図で下調べし、デジタルカメラを持ってでるのもよし。 ただし、カメラを持っていることで、怪しまれることもありうるので、挙動には細心の注意を。 旅行に楽しみには色々なものがありますが、その一つがそれまで経験したことのない事物に出くわす ワクワク感です。
旅行することは危険と隣りあわせというのは、否定しえない。まあ、知らないことろに行くわけですからね。日本にいてさえ、意外に危険と思しきところはあります。 そこに住んでいる人はよく知っているけれども、旅行者にとってはまったく見当がつかないので危険の罠にはまるということは起こりえます。だから、事前の情報はきわめて重要に なるわけですが、それでも、旅行にロマンを求めて、旅する人が現地の人にだまされたり、場合によっては命を奪われるというニュースが毎年のようにありますね。本当に残念なことです。
ということで、出立する前に、旅行する地域の情報を集め、どこが危険な場所か、どのように危険なのかをよく知るようにしようということになります。まあ、言うまでもないことですね。